猫のトイレに赤い尿が混じっている、ピンク色の尿が出ている、排尿時に痛そうにしている…。これらはすべて「血尿」の可能性があり、放置すると命に関わるケースもあります。特に猫は泌尿器系のトラブルが非常に多く、早期発見が重要です。
本記事では、猫が血尿を出す原因、考えられる病気、危険なサイン、受診の目安、家庭でできる応急ケアまで、初めての飼い主でもわかるように整理して解説します。
血尿とは?猫の血尿の見え方と判断ポイント

血尿は、尿に血液が混ざり、赤・ピンク・茶色っぽく見える状態です。目に見えないレベルの「微量血尿」もありますが、猫は泌尿器の病気が多いため、色の変化に気づいたら早めに対処することが大切です。
血尿の見え方は次のようにさまざまです。
- 赤く染まった尿
- ピンク色や薄赤色の尿
- 茶色っぽい尿
- トイレ砂が赤く染まる
特に膀胱炎や結石では、頻繁にトイレへ行くのに少量しか出ない、痛そうに鳴くなどの行動が見られます。
血尿と一緒に見られる症状

血尿だけでなく、以下の症状がある場合は病気が進行している可能性があります。
① 頻繁にトイレへ行くが尿がほとんど出ない
膀胱炎や尿道閉塞の典型的な症状です。特にオスは尿道が細いため、閉塞が命に関わります。
② 排尿時に鳴く・痛がる
排尿時に声を上げるのは強い痛みを感じているサインです。
③ トイレ以外の場所で排尿する
尿が出にくい、痛みがある場合に見られる行動です。
④ お腹を触ると嫌がる
膀胱に炎症があると下腹部に触れるのを嫌がります。
⑤ 元気がない・食欲不振
急性の炎症や尿道閉塞の可能性があります。非常に危険です。
特にオス猫で「尿が出ない」状態は緊急事態です。数時間で危険な状態に陥る可能性もあります。
考えられる原因と病気

猫の血尿は多くの病気のサインとして現れます。主な原因は以下の通りです。
① 特発性膀胱炎
ストレスや環境変化が引き金となり、膀胱に炎症が起こる病気です。血尿・頻尿・痛みが代表的な症状で、猫の泌尿器トラブルで最も多い原因です。
② 尿路結石(ストルバイト結石・シュウ酸カルシウム結石)
結晶や結石が膀胱・尿道を傷つけることで血尿が起こります。特にオスは尿道閉塞の危険性が高く、早期治療が必須です。
③ 尿道閉塞(オスに多い緊急疾患)
尿道が完全に詰まり、尿が出なくなる命に関わる状態です。血尿だけでなく、吐き気、不穏、ぐったりするなどの症状が出ることもあります。
④ 膀胱腫瘍
まれですが、膀胱にできる腫瘍が血尿を引き起こす場合があります。
⑤ 腎臓の病気(腎盂腎炎など)
腎臓に炎症がある場合も血尿が起こります。発熱や元気消失を伴うことがあります。
⑥ 外傷(落下や事故など)
強い衝撃で膀胱や尿路が傷ついた場合に血尿が出ることがあります。
血尿は原因が多岐にわたるため、家庭で判断するのは危険です。
すぐ受診すべき危険なサイン

以下の状況は緊急性が非常に高いため、直ちに動物病院へ連絡してください。
- 尿がほとんど出ない、または全く出ていない
- 強い痛みで鳴く・落ち着かない
- 嘔吐・ぐったり・呼吸が荒い
- オス猫で排尿困難
特にオス猫の尿道閉塞は、数時間で命に関わる状態になります。迷ったら「受診」が正解です。
家庭でできる応急ケア

血尿が見られたら、まずは以下を行いながら病院に行く準備をしてください。
① 新鮮な水を複数の場所に置く
水分摂取を増やすことで尿が薄まり、排尿がスムーズになることがあります。
② トイレを清潔に保つ
尿量・色の確認がしやすくなります。
③ ストレス要因を減らす
特発性膀胱炎の場合はストレス軽減が症状緩和につながります。
④ 排尿の頻度と量を記録する
診察時に非常に役立つ情報になります。
ただし応急ケアはあくまで“受診までの間にできること”であり、治療の代わりにはなりません。
治療はどんなことをするの?

治療内容は原因によって異なりますが、代表的なものは以下です。
- 鎮痛剤・抗炎症薬
- 抗菌薬(感染がある場合)
- 尿路結石用の食事療法
- 点滴治療
- カテーテルによる閉塞解除(緊急)
特に結石・閉塞は早期治療が必須です。
再発を防ぐためのポイント

血尿は再発しやすいため、次の工夫が大切です。
① 水分摂取を増やす工夫
ウォーターファウンテン、ウェットフードの活用など。
② 環境を快適に保つ
ストレス軽減は非常に重要。特発性膀胱炎の再発予防につながります。
③ トイレ環境の改善
清潔・静か・複数設置は基本です。
④ 定期検診
膀胱炎や結石は再発が多いため、定期的な尿検査がおすすめです。
まとめ:猫の血尿は緊急サイン。早期対応が命を守る
猫の血尿は膀胱炎、結石、腎臓病、尿道閉塞など、多くの病気のサインです。特にオス猫は尿道閉塞の危険性が高く、放置すると命に関わるため、迷ったらすぐ受診してください。
早期発見と適切な治療により、ほとんどの猫は回復が期待できます。日常的にトイレの様子を観察し、異変に気づいたら早めに行動することが大切です。
猫の血尿に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 血尿が1回だけ出ただけでも病院へ行くべき?
はい。1回だけでも異常のサインです。猫の泌尿器疾患は進行が早いため、早めの診察が安全です。
Q2. メス猫でも尿道閉塞になりますか?
オスよりは低いですが可能性はあります。血尿や排尿困難があればメスでも受診が必要です。
Q3. 血尿が良くなったように見える場合は様子見でいい?
自己判断は危険です。症状が一時的に改善しても病気が進行していることがあります。
Q4. 家の中のストレスで血尿になるって本当?
はい。特発性膀胱炎ではストレスが強い引き金になります。引っ越し・騒音・多頭飼育の緊張などが影響します。
Q5. 血尿のときにやってはいけないことは?
市販の薬を与える、ネットの対処法だけで様子を見る、水を制限するなどは危険です。必ず動物病院へ相談しましょう。

